カリフォルニア湾の耳をつんざく魚たち

スカシテンジクダイ科のこの魚の交尾の鳴き声は、離陸する飛行機よりも大きい

カリフォルニア湾の研究者たちは、ある種の魚の鳴き声を測定した。彼らの耳をつんざくような鳴き声は、他の海洋生物の聴覚を損なう可能性がある。

このうるさい魚はガルフ・コルビナ(Cynoscion othonopterus)である。

産卵期には150万匹もの大群を形成し、27kmもの距離を泳ぎ回る。

メスを呼び寄せるために、オスはまるで大合唱のように、最大177デシベルの大声で鳴き交わす。これに対し、ジェット機の離陸音は約140デシベルである。 このことから、湾内コルビナはこれまで測定された中で最も大きな音を出す魚であることがわかる。

研究者らはこのほど、学術誌『Biology Letters』にこの研究結果を発表し、「彼らの集団合唱の空間的・時間的大きさは、水生環境で記録された最も大きな動物の鳴き声のひとつである」と書いている。

集団産卵は毎年4月から5月にかけてコロラド川のデルタ地帯で行われる。満月の前後数日間に、オスは交尾の鳴き声を始めるが、その鳴き声は小型漁船の船体にまで響き渡り、人間の耳にも聞こえることがある。

研究者たちは、この大きな鳴き声は、水が濁り、周囲の騒音が大きいという魚の環境への適応によるものだと考えている。 この大音量は産卵行動には有効なようだが、漁師に発見されやすくなるため、魚にとっては致命的となる。

ガルフ・コルビナは乱獲がひどく、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは絶滅危惧種に指定されている。

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